保育士実技試験の選択分野は3つあり、その中の1つとして「音楽」があります。
ピアノ・ギター・アコーディオンの中から1つ楽器を選び、2曲の課題曲を演奏しながら歌う実技です。
今回は保育士実技試験「音楽」が不合格にならないためのポイントについて私の体験談を交えながら細かく解説していきますので、ぜひ参考にして下さい。
音楽の試験概要
本題に入る前に、まずは音楽の試験概要について少し触れておきましょう。
音楽の実技試験は、歌いながら幼児に聴かせることを想定して2曲の課題曲を演奏しながら歌います。
合格ラインは50点満点で6割以上(30点以上)。
使用して良い楽器は以下の3種類で、この中から自分で好きな楽器を選んで試験を受けます。
- ピアノ
- ギター
- アコーディオン
申請を行なった後は分野の変更をすることはできません。
ギター、アコーディオンを選択した場合は楽器を持参しなければいけないので楽器の不具合(弦切れなど)がないように注意する必要があります。
また、ギターはアンプが使用できないのでアコースティックギターに限られます。簡単なコードに変換できるカポタストの使用は認められています。
アコーディオンを選択した場合、合奏用は使用不可なので注意してください。独奏用で試験を受けてください。
ピアノの楽譜は持ち込み可能で、市販の楽譜でも保育士試験の受験申請書に記載されている楽譜でもどちらでも大丈夫です。
ギター、アコーディオンでも楽譜は持ち込み可能で、保育士試験の受験申請書に記載されている楽譜のコードネームを尊重して演奏します。
どの楽器を使用する場合でも、前奏・後奏をつけることは認められています。
歌詞は1番のみで、自分が歌いやすいキーに移調してもOK。
音楽の試験は子どもたちに歌って聞かせることを前提としているため、歌や伴奏の技術だけでなく、「子どもたちの様子を見ながら演奏できるか」という点が評価基準の1つでもあります。
ただ弾き歌いをすればいいというものではなく、子どもたちと一緒に楽しく歌うことをイメージして演奏することが大切です!
課題曲の2曲は事前に公表されるのでしっかりと練習して臨みましょう。
音楽で不合格になる方の特徴「笑顔が作れていない」
不合格になる方の特徴として挙げられるのは、笑顔が作れていないことです。
音楽の試験は子どもたちに歌って聞かせることを前提としているので、笑顔がなく無表情で試験を受けると子どもたちと一緒に歌うことをイメージできていないと見なされてしまいます。
とはいえ、実技試験は試験官に見られながら行うので緊張して笑顔が作れなくなってしまうのもわかります。
ピアノの鍵盤が思ってたよりも重かったり、手が冷えて指がうまく動かないなど、想定外のことが起きるとそちらに気がとられて練習ではできていた笑顔が作れなくなる可能性があります。
どんなアクシデントが起きても動じないように、本番を想定して笑顔も含めて練習することが大切です。
また、「伴奏のみ」「歌のみ」「メロディーラインだけを弾いて伴奏する」ことは採点対象外になっているので気をつけてください。
音楽で不合格にならないためのポイント3つ
ここからは、音楽で不合格にならないためのポイントについてお話していきたいと思います。
今回挙げたのは以下の3つのポイントです。
- 間違えても気にしない!そのまま続ける!
- 笑顔を忘れず楽器より大きな声で歌う!
- とことんシンプルな楽譜を選ぶ!
順番に詳しく見ていきましょう。
音楽で不合格にならないためのポイント①:間違えても気にしない!そのまま続ける!
まず1つめのポイントは、「ミスしても止まらない、戻らない、弾き直さないこと」です。
私は実技試験の対策として短期間ピアノ教室に通っていましたが、ピアノを指導してくれた先生は「間違えても途中で止まらない!」と何度も言っていました。
耳にタコができるくらい言われたので、途中で止めないことが最も重要であることはレッスンの時から感じていました。
私が実技試験を受けたとき、試験会場では自分の番が来るまで他の方の演奏を控え室で聞くことができたのですが、そこで印象的だったのが、少し間違えただけなのに何度も弾きなおしたり、歌も途中で止めてしまう方が何人もいたことです。
もし演奏を間違えて手が止まってしまった場合、歌は歌い続けましょう。タイミングをみて演奏を再開し、何事もなかったように自信をもって最後までやりきることが大切です。
途中から弾くのが難しい場合もあるので、楽譜のどこからでも弾けるように繰り返し練習をしておく必要があります。
実際に保育所や幼稚園の子どもたちは先生が伴奏を間違えても止まらずにそのまま歌い続けます。
ピアノを間違えても目の前にいる子どもたちの歌は止めないというイメージをもちながら歌い続けるようにしましょう。笑顔で最後まで弾き歌いすることができればきっと合格できます。
緊張から演奏が思っているよりも早くなってしまうことがあります。私も早くなってしまいがちで先生によく注意されていました。緊張しやすい方は「ゆっくり」を常に意識して練習すると良いと思います。
音楽で不合格にならないためのポイント②:笑顔を忘れず楽器より大きな声で歌う!
2つめのポイントは「笑顔を忘れず楽器より大きな声ではっきりと歌う」ことです。
試験では子どもたちに歌って聞かせることを想定した歌い方が求められます。
不合格になる方の特徴として笑顔が作れていないことを挙げましたが、歌うことに集中しすぎて顔が強張ってしまうのは避けたいところです。
「おかあさんといっしょ」のうたのおねえさんのような聞きやすくてはっきりとした歌い方が理想ですが、同じように歌える人はなかなかいないと思います。
完璧に歌うことよりも明るく笑顔で表情豊かに歌うことの方が大切です。緊張で眉間に皺がよったり、怖い表情をしていると子どもたちは楽しく歌うことができません。保育士が笑顔でいると子どもたちもつられて笑顔になります。
また、歌う声がピアノの音より小さいとマイナスポイントになるので大きな声で元気よく歌うようにしましょう。
腹式呼吸ができると吐き出す息の量をコントロールできるようになるので安定した声を長く出すことができます。
大きな声を無理に出そうとしなくていいので腹式呼吸をマスターしておくのも1つの方法ですね。
逆説的に楽器の音を小さく弾く練習をするのも良いと思います。グランドピアノは想像以上に大きな音が出ますからね。
ピアノをレンタルできる楽器屋は案外多いですし、試験を受ける前にグランドピアノに触れて鍵盤の重さや音の大きさを事前に確認しておいた方がいいでしょう。
音楽で不合格にならないためのポイント③:とことんシンプルな楽譜を選ぶ!
3つめのポイントは、「とことんシンプルな楽譜を選ぶ」ことです。
弾き歌いはピアノを演奏するだけではないので簡単なことではありません。ピアノに自信がある人でも間違えてしまう可能性があります。
そもそもピアノの発表会のような上手な演奏レベルは求められていません。試験官がチェックしているのは「うた」です。
ピアノの試験ではなく、あくまでも保育士試験です。自分のレベルに合った楽譜を、と思う方は多いと思いますが、個人的には自分のレベルよりもさらにレベルを下げた簡単な楽譜を選ぶ方が良いと思います。
実際に私は自分のレベルよりもはるかに簡単な楽譜を選び、様々なメリットを感じました!
- 前奏も短くてシンプルなものにしたのでミスが起きるリスクを減らせた
- 歌の練習に時間を割けた
- 毎日練習を積み重ねることで譜面を見ずに弾けるようになった
これらはシンプルな楽譜を選んだおかげだと思います。
楽譜についてもう1つおすすめしたいことがあります。それは楽譜を厚紙に貼ることです。
空調で譜面台から飛んでしまうと可能性がありますし、楽譜よりも少し大きめの画用紙に貼るときちんとした印象になります。
厚紙は100円ショップで買うことができるので手軽に準備することができますよ。余計なことに気を遣わなくて済むようにあらかじめ対策しておきましょう!
また、緊張してしまうと血液の循環が悪くなって手が冷えてしまうことがあります。手が冷えると思うように指が動かない場合があるので、順番を待っている間に両手をゆっくりグーパーして血液の循環を良くしておきましょう。
まとめ
音楽の実技試験は演奏よりも楽しく元気よく歌うことがなによりも大切です。子どもたちが目の前にいることをイメージしながら笑顔を忘れずに歌ってください。
課題曲を事前に教えてもらえるということは念入りに準備することができるということですので、しっかり練習すれば合格への道はそれほど難しくはありません。
音楽の試験内容は保育士になってからも役立つので練習した時間は決して無駄にはなりません。
保育士になれるまであともう踏ん張りです。本番を想定した練習を積み重ねて自信を持って試験に挑みましょう!