現代社会では共働きが増え、小学校就学前に幼稚園、または保育園に通う子がほとんどです。
保育園と幼稚園はどちらも子どもを預ける施設ですが、保育時間や法的な位置づけなど、実は違いが多くあります。
近年、幼稚園と保育園の役割を合わせた子ども園も増えてきていますが、ここでは幼稚園と保育園の違いについてお話していきたいと思います。
私自身、幼稚園教諭と保育士の両資格を持っておりますので、実体験も交えながら書いていきますね。
保育士と幼稚園教諭の違いをザックリ解説
まずは、保育士と幼稚園教諭の違いをザックリ解説したいと思います。
保育士と幼稚園教諭の仕事は似ていると思われがちですが、必要とされる資格が異なってきますし、働く場所や働き方、給料などにも違いがあるのです。
保育士になるためには厚生労働省管轄の保育士資格が必要であり、保育士資格は児童福祉法に基づく国家資格となっています。
一方、幼稚園教諭は幼稚園教諭免許が必要であり、管轄は文部科学省で教育職員免許法にもとづく教員免許となっています。
働く場所にも違いがあり、保育士は保育園をはじめ、児童養護施設、乳児院など、子どもを保育する施設で働くことが一般的。
幼稚園教諭の主な就業場所は、公立・私立の幼稚園となっています。
また、どちらも小学校就学前の子どもを預かる仕事ですが、幼稚園教諭は満3歳以上の子どもを対象とし、小学校就学に備えて、年齢に応じた教育や指導を行うのが主な目的とされています。
保育士は0歳からの子ども達を保護者に代わって保育し、基本的な生活習慣などを教えることを目的としているため、目的もまた大きな違いとなっています。
保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違いは?
ではお次に保育士と幼稚園教諭の仕事内容の違いについて見ていきましょう。
保育士の仕事内容としては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 子どもの受け入れ(保護者さんから健康状態や様子を確認)
- 年齢や発達にあわせた遊びや活動の手助け
- お友達との関わりなど様々な体験を通した成長の援助
- 子供のお見送り(保護者さんに1日の様子を報告)
- 事務仕事
保育所保育指針に基づいた「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域を意識しながら、養護と教育が一体となって豊かな人間性をもった子どもの育成を図っていきます。
また、保育士の仕事は子どもたちと直接関わることだけではなく、毎日の子どもの様子を記録にとることや、一人一人の成長発達に合わせた保育計画を立てるなど、事務仕事もたくさんあります。
子どもの健やかな育ちのために、保護者との連携をしっかり取ることも重要な仕事になってきます。
一方、幼稚園教諭の仕事内容は、文部科学省が定めた「幼稚園教育要領」にもとづいたカリキュラムがあり、そのカリキュラムに沿って子どもたちと関わり、日々活動しています。
園によってカリキュラムの内容は異なり、勉強を重視したり、運動することに重点を置いたり、自由遊びの時間を大切にしたりと、それぞれ園ごとに方針や特色があります。
幼稚園教諭は子どもたちの集団生活の中で人との関わり方を教えたり、社会性を育て、その子の良さを引き出す役割を担っています。
また、保育士と同じく子どもと接するだけでなく、保護者への対応として面談や懇談会を行い、保護者との連携をとることも大切な仕事なのです。
他にも、日々の教育カリキュラムの作成、書類作成、行事の企画や進行、園内の飾り付けなどさまざまな仕事があります。
保育士と幼稚園教諭の給料はどれくらい違う?
厚生労働省が毎年調査している「賃金構造基本統計調査」では、保育士と幼稚園教諭の平均年収はほとんど差はないという結果が出ています。
2018年度のものを取り上げると以下の通り。
■2018年度賃金構造基本統計調査結果
保育士 | 幼稚園教諭 |
約356万円 | 約360万円 |
初任給についても同様にほぼ差はありません。
しかし、保育園・幼稚園には公立と私立の2種類があり、それによって給料が違ってきます。
また、園の運営主体や規模、職位や勤続年数などによっても多くの違いがあるため、一概に「どちらの方が高いお給料をもらえる」とは言えないのです。
ただ、幼稚園では公立か、私立か、国立かで金額はもちろん、待遇も異なってきます。
公立幼稚園で働く場合は公務員になるため、勤続年数に応じて昇給がありますよ。
続いて保育士・幼稚園教諭のボーナスについてです。
保育士のボーナスの支給時期は多くの園では6・12月の年2回となっていますが、そもそもボーナスの支給がない、または年に2回ではなく1回のみの支給という保育園もあるため、園での違いがとても大きいことがよく分かります。
幼稚園教諭のボーナスについても同様、園での違いももちろんありますが、幼稚園の規模が大きくなるにつれ上昇する傾向にはあります。
ですが、やはり園の経営状況による部分が大きく、平均よりも多く支給される園もあれば、年間通して数万円しか支給されない園もあるのです。
これからどちらで働こうか迷われている方にとってもお給料は非常に大切な部分になりますので、「どちらの職種」というよりも「その園の待遇がどうか」という点に注目して見ることをおすすめします。
それぞれの資格を取得するにはどうすればいいの?
保育士と幼稚園教諭は管轄が違うため、資格の取得方法も異なってきます。
保育士の資格を取得できる方法としては以下の2つがあります。
- 保育士養成学校を卒業する
- 保育士試験を受験し合格する
まず、保育士養成学校を卒業する方法です。
厚生労働大臣が指定する保育士養成学校で必要な科目を履修すると、その後卒業と同時に資格を取得できます。
通信制も同様に、必要科目の履修で卒業時に資格が取得できます。
もう1つは、通信講座や受験対策スクール、もしくは独学で勉強し、保育士試験を受験して合格する方法。
性別や年齢の条件はありませんが、学歴によって受験資格が異なるため、しっかりと確認する必要はあります。
一方、幼稚園教諭の免許には、第1種・第2種・専修の3種類があり、学ぶ機関によって取得できる免許が異なってきます。
取得方法としては、大学や短大を卒業して、第1種あるいは第2種を取得する方法が一般的です。
私は短期大学に通って両資格を取りました。保育士だけなら通信講座などで取る事も可能ですが、両資格取りたいのであれば大学などの養成校に通うのがベターだと思います。
保育士と幼稚園教諭、どっちがおすすめ?
どちらの職業も可愛い子どもたちと日々過ごし、子どものあらゆる成長を見届けることができる素晴らしい職業であり、やりがいがあることには変わりはありません。
しかし、この2つを大きく分けて考えると、幼稚園は「学びの場」、保育園は「生活の場」という特徴があり、私個人的には保育士の方がおすすめです。
保育士は子ども達と接する時間が多いため子どもとじっくりと向き合うことができ、一緒に成長ができます。
また、乳児期から関わることができるので、より子どもの成長に深く関わることができるのも嬉しいポイント。
他にも、雇用形態がさまざまあるという魅力があります。
家庭の事情や健康上の理由などによって長時間の勤務が厳しい場合など、パートや契約社員、派遣社員という形でも保育士を続けることができます。
正規雇用以外の形態では、午前または午後だけ働くということもできるのです。
子育て中の保育士も多く、色々な選択肢があるのはとてもありがたいですよね。
正規の保育士に比べて補助的な仕事が多くなりますが、園によってはクラスの重要な仕事を任せてもらえることもあります。
その他、保育士が活躍する現場は保育園だけではなく、放課後児童福祉員、児童福祉施設でも保育士資格は重宝され、ベビーシッターや保育ママとしても資格を活かすことができます。
活躍できる場所の多さも保育士の魅力として挙げられるでしょう。
まとめ
ここまで、保育士と幼稚園教諭の違いについて様々なことを述べてきました。
どちらも、子どもたちの安全を守り、日々成長していく姿を見届ける事のできる素晴らしい職業です。
ただ遊ぶのではなく、成長発達に合わせたその遊びから子どもたちは様々なことを学び、吸収していきます。
その成長のサポートをするという目的はどちらも同じです。
この記事では保育士の方がおすすめということでお話しましたが、あくまでもこれは私の見解です。
幼稚園教諭にももちろんたくさんの魅力がありますし、どちらが自分に合っているのか考えて最適な職業を選んでくださいね!